金銅五鈷鈴
Gilt-bronze Five-pronged Vajra Bell
ご売却済み
- 時代
- 鎌倉〜南北朝時代
- 伝来
- 個人コレクション
- サイズ
- 高 180mm/幅 75mm(底面)
- 付属品
- 桐箱
五鈷鈴(*)とは金剛鈴の一種で、密教修法のとき諸尊を驚覚し歓喜させるために振り鳴らす法具です。本作は鈴が白銅質、杵部が金銅製と別作になっており現在はところどころに鍍金を残すのみですが、かつては全体に鍍金が施されていたものと思います。鈴杵別鋳式の一例として奈良西大寺伝来の五鈷鈴が挙げられ、鎌倉時代後期から南北朝時代にみられる様式です。
脇鈷が牛角状に屈曲し鬼目も矮小化しつつあるものの全体的なフォルムはまことに力強く、鈴部の蓮弁にみられる「むくり」や細部にいたるまで手を抜いていない精緻な文様等、然るべき大寺の什物であったことを示唆しております。
振り鳴らした時の澄んだ音色には、冷え枯れた御堂で懸命に祈りをささげる僧の姿がありありと浮かんでくるようです。
(*)
〜古来密教法具中でも特に尊敬を払われたもののようである。したがってこの種のものには、製作の優秀さを誇るものも少なくない。鈴は普通素文であるが、また周囲に仏像を浮彫りしたもの、三昧耶形をあらわしたもの、梵字をあらわしたもの、唐草の装飾をなしたもの等もある。(『密教法具』奈良国立博物館編より抜粋)