現代の住空間にいきる
宗教美術を

nakagami

伊賀旅枕花生

伊賀旅枕花生

Iga Tabimakura Hanaike

ご売却済み

時代
室町末〜桃山時代(16世紀)
伝来
古美術柳孝〜秦秀雄〜個人コレクション
サイズ
高 190mm、口径 90mm
付属品
二重箱(新旧箱/秦秀雄書付)、落し

旅枕花生として、相当古くに見立てられた初源的な作品です。正面は萌葱色の自然釉につつまれた穏やかな景色、反面は茶褐の灰釉が焦げとともに激しい様相で片身替りになっており、窯中でくり返し炎をくぐり抜けることで人智のおよばない景趣を獲得しています。

こちらの花生は、かつて作家の秦秀雄(珍品堂)が所持していたようです。自身の著書『骨董玉手箱(文化出版局編)』の五十二頁に所載されておりますので、入手の経緯を簡単に引用しましょう。

「京都の古いなじみの骨董屋(=古美術柳孝)に寄ってみたら部屋には先客があり、この花生が置かれてあった。先客にこの花生を買ったのかと尋ねると「信楽の旅枕は何本かあるのでよしました」との応え。遠慮なく求めることにしたものの、すぐに支払うことができないほど高値だ。しかし「三点四点の伊賀旅枕をいくら積み重ねても、この一本の旅枕の風格雅情にはとうてい及ぶものではあるまい」と意を決した。高い、苦しい、借金してまで、世帯を切り詰めてまで、と欲情を乱しはしたが、長者なるがゆえに気安く眺めた先客の数多い花器にも優るベストが貧書生の手に入った。」

珍品堂はこの花生を相当気に入っていたのか、他の書籍(小さな蕾・昭和48年新年号)でも激賞しており、新たな桐箱に箱書をしたため、さらに杉の外箱をあつらえ二重箱に仕立て直すという念の入れようです。また、ぴったり口径におさまる金属製の落としが付属しております(*1)。

本作はいわゆる織部好みの伊賀とは違う、より素直で自然美に適った花生です。バロックが聴こえてくるような花生ではありませんが、苔むした岩肌を思わせる膚の静けさは格別です。

(*1)

本作は出自が窯道具であるがゆえに底は別材で補われております。見た目や強度上に問題はありませんが、花を生けられる際は必ず落としをご使用ください。

拡大して表示できます

  • Iga_hanaike_1
  • Iga_hanaike_2
  • Iga_hanaike_3
  • Iga_hanaike_4
  • Iga_hanaike_5
  • Iga_hanaike_6
  • Iga_hanaike__otoshi
  • Iga_hanaike_innerbox_1
  • Iga_hanaike_innerbox_2
  • Iga_hanaike_outerbox_1
  • Iga_hanaike_outerbox_2
  • Iga_hanaike_doublebox
  • Iga_hanaike_publication_1
  • Iga_hanaike_publication_1
  • 伊賀旅枕花生_メイン